みなさま、今さらですが、新年あけましておめでとうございます。1ヶ月も過ぎて、おめでとうも何もないですが、2016年の気分新たなスタートがまだ続いていますでしょうか。
私は、年明け早々、我が子の冬休みの宿題への取り組み方が不安になったという保護者の方から一通のお手紙を受け取ることからスタートしました。
宿題を見ていると、文章題はもちろん、筆算などの計算もおぼつかない、このまま学年が終わってしまうのなら心配で仕方ない
というものでした。
お叱り、ということではないのですが、
「先生、ちゃんと見てくれているんですか?」
と言われたような気がしました。
夏休みや冬休みには、保護者の方も子どもの学習を見る機会が増えるのか、普段はお仕事で忙しい家庭も(時に放任主義なのかな、と思う家庭も)、我が子の勉強を気にされることがあります。
その子を仮にAさんとしましょう。
Aさんは、確かに勉強ができる方ではありません。持ち物も管理するのが苦手で、机やロッカーはいつも散らかっています。集中力は長く続きませんし、姿勢も安定しにくいです。字も決してきれいな方とは言えません。
なんだか悪いことばかり書きましたが、素敵なところも同じくらいあります。
Aさんは、友だちに悪く言われることはまずありません。いつもたくさんの友人たちに囲まれています。周りを楽しい言動でいつも楽しませてくれます。笑いを取るときも、決して誰かを誹謗中傷して笑いに繋げることはありません。また、造形物をつくる能力に長け、豊かな発想力はピカ一です。
そんなAさんの保護者からのお手紙でした。
懇談会などで、Aさんの学習については私も現状を伝えていましたし、成績表も誰が見てもAさんは勉強に苦労している、という内容だったので、保護者の方のいきなりのお手紙に驚いたのですが、保護者の方にしてみれば、
「思った以上にひどい」
ということだったのでしょう。もしくは、年末年始に親族やお知り合いと話をする機会があって、悠長に構えてはいられなくなったのかもしれません。
私は、Aさんの授業での取り組みや宿題を丁寧に見ることにして、気になることやお家でお願いしたいことを気づいた時点で報告することにしました。
家の年収は子どもの学力に比例するだの、親の学力は子どもの学力と相関があるだの、よく言われますが、私の見聞きしている範囲では、
保護者の関心と子どもの学力は比例する
と言えるかもしれません。
ですから、保護者から上記のようなお手紙をいただいたのならば、その時はAさんの学力は改善するチャンスであるはずなのです。
保護者の関心というのは、塾に行かせるとか、通信教育を申し込むとかそういうことよりも、子どもたちがつまずいていたり、分からなくなっているときに、一緒に考えてあげる、その姿勢のことです。
「先生に聞いてきなさい」
というのはラクです。
そして、間違ってはいません。教師に聞けばいいのです。教師が教えた勉強であり、教師が出した宿題なのですから。
しかし、子どもたちが宿題をしながら
「分からーん」
「分かんない、何なのこれ」
と、ぶつぶつ文句を行ったり、途中で投げ出したりし始めたときは、
「ちゃんと授業聞かないからでしょ」
「先生に質問しなきゃ」
とか、
「問題よく読みなさい」
とかではなく、
「となりで見ててあげるから、やってみて」
「一緒に考えよっか」
などという方がいいのでは?と最近は思っています。
授業中も同じなのですが、分からなくて文具で遊び始める子やおしゃべりをしてしまう子は、そばまで行って「ちょっとやってみて」とか「先生ともう一回問題読もうか」と言うだけで、なぜか問題が解けてしまうのです。
彼らはただ単に甘えているのではないと思います。「分かんない」というときは本当に「分かんない」のです。
でも、誰かがそばで見てくれていたり、手を貸そうとしてくれるだけで、解けてしまうのです。ブレイクスルーができてしまうのです。
その力のことを何と言うのでしょう?
私は知りません。
しかし、とにかく応援は力になるのです。
教師や親が隣に来ると、子どもは本気になるのでしょうか。やる気スイッチが入るのでしょうか。
そして、そんな「力」を発揮するのは、独断と偏見ですが、Aさんのような「ソワソワさん」タイプに多いような気がするのです。
ソワソワさんタイプは、能力を持っていても、そのソワソワした性格により、能力が十分に発揮できていないように見えます。
ソワソワさんが「分からない」と言うときは、早とちりや勘違いをしていることが少なくありません。
Aさんが学力を付けていけば、物事に集中できるようになり、次第に「ソワソワ」が落ち着いてくるのか、それとも反対に「ソワソワ」がなくなれば、学力がついてくるのか、それはまだ私には分かりません。
性格が先か? 学力が先か?
分かりませんが、結論なんか待てませんので、Aさんの性格も学力も手助けしながら、とにかく2016年のスタートです。