2016年10月28日金曜日

給食はトンデモメニューなのか?

一ヶ月ほど前のことだったでしょうか、友人がこんな記事をフォローしました。

「学校給食の不都合な真実〜子どもたちはこんなものを食べさせられている!〜」

(だいたいですよ。こんな感じのタイトルだったと記憶しています。細かなところの違いはお許しを。)

どうしても、教師としては反応してしまったわけです。

常日頃、給食のへんなところは気にしていましたので。


その記事は、京都の有名な料理人の方が書いていて、

・地域に根ざした出汁の導入

・生魚の導入(冷凍でなく)

を文科省や全国学校給食連合会に提案しても、門前払いにあったことが書かれていました。

確かになあ…ありえるなあ、と思いながら読ませていただきました。

しかし、学校給食の名誉のために言うならば、私の勤める小学校では、うどんがメニューのときには、10時にもなると学校中がかつおだしのにおいでいっぱいになり、教師も子どもたちも「今日は、うどんだー!」とウキウキします。

また、ハヤシライスがメニューのときは、朝から甘くて香ばしい匂いが立ち込めます。

これは、100キロあまりの玉ねぎを炒めているからです。

カレーのときは言うまでもありません。カレーなんて、喫茶店みたいに業務用缶詰でしょ、と思っていませんか?
(そうじゃない喫茶店主の方、ごめんなさい)

私の学校では、バターで小麦粉を炒めることからカレーを作ってくださっています。漂うかおりのよだれを誘うことと言ったら!

家庭でそんなカレーを食べられる子どもは少ないでしょう。

京都の有名な料理人の方、こんなふうに学校給食も素敵なところはあるのです。

しかし、です。

素敵なメニューもあれば、やはりトンデモメニューもあるのは事実です。

指摘されていましたが、たしかにごはんに牛乳はおかしいです。合いません。

しかし、やはり私もカルシウムの摂取と日本の酪農のことを考えれば、全国1000万人ほどの子どもたちが毎日牛乳を飲むことに賛成です。

しかし、トンデモメニューの中心は牛乳ではなく、パンです。

涼しい顔をして、給食メニューに居座っていますが、パンこそが悪の中枢だと私は睨んでいます。

京都の料理人の方は、冷凍食品に注目し、そこにぶら下がる業者の多さに問題点があると糾弾していました。彗眼に頭が下がります。

しかし、パンはもっとヘンです。

牛乳
パン
具だくさんスープ
ハンバーグ

というメニューなら、構いません。パンはそんなスープやシチューといっしょに出せばいいのです。

しかし、パンはもっと居座っています。

牛乳
パン
きつねうどん
鶏肉とキュウリのサラダ

とか

牛乳
パン
焼きそば
きんぴらゴボウ

とか。

パンが麺類といっしょに出ます。

パン、いらないでしょ?
炭水化物そんなにいらないでしょ?

100歩譲って、まだごはんなら、世の中にも、うどん定食なるものは存在するでしょう。

しかし、うどんや焼きそばと、パンって!

学校給食では、麺類はごはんではなく、パンといっしょに出される地域が多いのです。

なぜか?

これには、京都の料理人の方が冷凍食品に対して糾弾したような、構造があると私は睨んでいます。

これは、大げさに言うならば、小麦粉の消費や、パン製造業者(組合?)の利権が絡んだ、文科省、農水省の闇です、きっと。

日本は、大量の小麦粉を輸入しています。これは、国内産小麦の生産を阻害するほどの量と価格での輸入です。

なぜそれほどの量を輸入するかと言えば、自動車をはじめとする輸出品を支えるために、貿易の均衡を保つために小麦や大豆を輸入しなければならないからです。

輸入した小麦粉はちゃんと使い道があるんですよ、という理屈を通すための一つの手段が、週に3回の給食パンなのです。

全国の小中学生が週に3回のパンを食べると、一年間に何トンの小麦粉が消費できるかは知りませんが、その規模の大きさはぶら下がるに値する大きな利権を生んでいるはずです。

パンの回数は絶対です。
動きません。

この硬直ぶりは、毎日給食を食べていると分かります。なにか、アンタッチャブルな力を感じます。

給食とパン業者と小麦粉の輸入業者と、食料自給率を低く抑えたい農水省の強い力です、きっと。


ちなみに、食料自給率の低さは度々報じられていますが、「食料自給率のウソ」はあちこちで言われているとおり、日本は、カロリーベースの食料自給率を採用しています。

ほとんどの国はトン(重さ)ベースです。

日本は、野菜をたくさん作る国なので、野菜はカロリーがないので、作っても食料自給率はほとんど上がりません。

こんにゃく芋や白菜なんて、いくら作っても食料自給率に全く貢献しません。

農家の方を馬鹿にしたようなそんな食料自給率ってありますか?

ちなみに日本だってトンベースを採用すれば、食料自給率は70パーセントくらいになるそうです。

すごいじゃないですか!
農業立国できているじゃないですか!

しかし、農水省はあえて、カロリーベースを貫きます。

なぜか?

農業は危機に貧している‼
農家は苦しい‼
国産が食べられなくなるかも!!?

と、煽ることで、予算を分捕りたいからです。そこにぶら下がる今話題の全農も同じです。

国産小麦は、少しずつ耳にするようになりましたが、まだまだ少ないです。そんな大々的には生産できないようになっているに違いありません。

せっかくカロリーベースで抑えている食料自給率が上がってしまうからです。

というわけで、子どもたちは、食料自給率を低く抑える手伝いをしているようなものです。

私としては、なんとか給食を週に5回とも白米にしたいところです。

何十年も改良されてもいない、輸出の対価で仕方なく輸入した小麦粉を使った、パサパサのパンなんてなくなればいいのです。

うどんとバン

誰が考えても、おかしいでしょ?
(小麦粉with小麦粉だし…)